お見合いツアー(通称「嫁来いツアー」)の添乗員として、東京から女性参加者とともに過疎の村にやってきた俺、井松健(いまつけん。ゲイ・二十七歳)。
俺、このツアーが始まった五年前からお世話しているんだけど、これまでまだ一度もカップルが誕生していない。しかも、俺自身、参加者の若井幸雄さんが個人的に気になっていた。
今回も男女の間にこれといった進展がないまま、幸雄さんが若旦那を務める旅館で、参加者による宴会が開かれた。だが、その宴席で大ハプニングが発生し、いよいよカップルの成立は絶望的になっちまう。
深夜、俺が気分直しに、旅館の大浴場に入ったら、幸雄さんが一人で掃除をしていた。
外の露天風呂に入らせてもらい、俺が極楽気分を味わっているところへ、裸になった幸雄さんも入ってきて、まさに夢見心地に。だが、その時幸雄さんから「意外な事実」を知らされた俺は、言葉を失ってしまった。
そして、風呂から上がった俺たちが脱衣所に戻ると、暗がりの向こうから――
「……んんっ……ぐうぅぅっ……」
「うむぅ……ぐふぅ……」
これは……!
なんだか、すげえことが起こりそうな予感がした。
【本文より抜粋】
「井松君」
背後からの幸雄さんの声。妄想大全開中の俺が、ギョッとして振り向くと、
「……っ!」
全裸になった幸雄さんが頭に巻いていたタオルで前を隠し、横に広がったたわわなおっぱいをたぷんたぷんと揺らしながら、石段を降りてきた。
「よかったら、僕も入っていいかな」
「ハ……ハイッス」
まるで、どこかの「薄い本」みたいな展開に、自分でも鼻の下が伸びていくのが分かる。もしかしたら、幸雄さんを思い続けていまだに独り身の俺を気の毒に思った「薄い本の神様」が、せめて眼福だけでも授けてくれたんだろうか。そんな神様が居るかどうか知らねえけど。
幸雄さんはまず石段の脇の流し場で念入りに掛け湯をし、さらに白くむっちりとしたデカケツをこっちに向けて、チ〇ポからデカめの金〇、肛〇にかけて指で何度もごしごしと洗った。その光景は幸雄さんがまるで俺を誘っているかのようで、湯の中でいきり勃っている俺のチ〇ポから先汁がじわりとにじみ出た。
ちくしょう! せめてせん〇りだけでも湯の中でヤリてえところだけど、さすがに俺にも理性がある。
風呂に入って五、六分、もう湯当たりしてしまいそうだ。
飛田流初期短編作品。
本文約26000字、400字詰原稿用紙換算約82枚。作品の一部を収録した無料体験版あり。
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・EPUB
以上、三形式の作品ファイルが収録されています。(内容はすべて同じです)
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